スリランカが誇る、絶景建築の神様。(Geoffrey Bawa 1919-2003)
ジェフリーバワは、コロンボ出身の建築家です。ヨーロッパ系の裕福な家庭に生まれ、イギリスのケンブリッジ大学に留学します。卒業後は弁護士となって一度スリランカに帰国しますが、1年半にも及ぶ海外旅行に出た後に自分の理想郷を作ろうと決意。建築を学ぶために再度イギリスに留学し、38歳のときに建築家としての活動を開始しました。
彼はトロピカル建築の第一人者でもあり、今では定番の「インフィニティプール(端が海に溶け込むプール)」の考案者でもあります。異彩を放つ彼の建築アイデアは、ラグジュアリーホテルとして有名な「アマンリゾート」にも影響を与えたそうです。ジェフリーバワは、84歳で亡くなるまで精力的に作品を残しました。
「自然・空気・建築」を一体化させる、独自のスタイル。
ジェフリーバワ建築の大きな特徴は、スリランカ独自の「文化」と美しい海や山などの「自然」を、「建築」の中に融合していること。無機質かつシャープで直線的なデザインを用いながらも、その土地の自然を最大限に活かした設計が施されているのです。
例えば、建築内部に岩山の地形を引き込んだり、時の流れと共に森の緑に覆われるような作りにしたり……。自然と建築が共生できるのは、バワならではのアイデアが盛り込まれているからでしょう。
客室だけでなく、ロビーやレストラン、共用スペースなど、ホテルの至るところにオブジェやアートを使用したバワのこだわりを垣間見ることができます。
独創的で味わいのある建築に、きっと誰もが魅了されるはず。スリランカに訪れた際は、ぜひジェフリーバワが生んだホテルに泊まり、その独特な魅力を存分に味わってみてください。
バワ芸術の原点に触れて、
その世界観を心ゆくまで堪能。
世界中の建築家から今なお敬愛されて続けているジェフリーバワ。自宅兼仕事場、週末の別荘などのプライバシーの空間にはバワデザイン発想の原型が息づいています。バワファンならずとも、そのシックでモダンなセンスの奥深さに圧倒されることでしょう。
パラダイスロード・ギャラリーカフェ/コロンボ
かつてバワが事務所として使っていた邸宅が、カフェとして人気を集めています。白と黒のコントラストを基調としたシンプルなインテリア、そしてアンティークの調度品に囲まれたバワのセンス溢れる空間での食事は、ファンには格別です。また、インテリアショップもあり、シンプルモダンなグッズを購入することもできます。
ナンバーイレブン(NO,11)/コロンボ
バワの息吹きを今もなお感じられるバワの終生の自宅兼オフィス。内と外の境界がない開放感溢れる吹き抜けからは、やさしい光と心地よい風を感じられ、 ここが室内であることを一瞬忘れてしまう不思議な空間です。真っ白な壁にアンティーク家具やオブジェ、鮮やかな色のバティック、シックな色のクッション、すべてのものが心地よく調和し、バワ精神の神髄に魅了されます。
ルヌガンガ/ベントータ
「バワの理想卿」と呼ばれている週末の別荘。50年、通い住みながら手掛けてきた「楽園」の随所にバワホテルのデザインの原型が見られ、バワホテルと比較しながら見学するのもバワ通の楽しみ方です。バワにとってはまだ未完成だったとは、さらにどんな世界観をを追い求めていたのでしょうか。
ブリーフガーデン/ベルワラ
芸術家の兄からも多くの刺激を受けたと思われるジェフリーバワ。その兄、ヘヴェスバワが手掛けて暮らしていた邸宅もバワスポットの知られざる一つとなっています。庭の木々の中に置かれたモニュメントやオブジェが不思議と緑に溶け込んでいて、自然と一体となった雰囲気は、弟のバワも影響を受けたのではないでしょうか。